豊橋市で看板を出そうとして「愛知県屋外広告物条例」を調べ始めた方は、いったん手を止めてください。豊橋市には県の条例が適用されません。市が自前の条例を持っている、愛知県内では数少ない市のひとつです。
ルールの中身は県条例と似ていますが、窓口も様式も申請の出し方も別物です。この記事では、豊橋市で看板を出すときの手続きと、市内で看板屋を探すときに見ておきたい点をまとめます。
まず結論:豊橋市は「市の条例」で動いている
豊橋市の屋外広告物は、豊橋市屋外広告物条例(平成10年12月24日条例第54号)で規制されています。愛知県内で県条例が適用されないのは、名古屋市・豊橋市・岡崎市・一宮市・豊田市・小牧市の区域です。豊橋市はこれに含まれます。
関連する規定は3本あります。
| 豊橋市屋外広告物条例 | 平成10年12月24日 条例第54号 |
|---|---|
| 同 施行規則 | 平成11年3月12日 規則第5号(許可の基準・許可期間はここで定められます) |
| 同 安全点検実施要綱 | 平成30年6月28日 |
ネットで「愛知県 屋外広告物 許可基準」を調べて数字を当てはめても、豊橋市では正解になりません。市の資料で確認してください。
窓口は市役所東館9階の都市計画課
申請先は都市計画部 都市計画課 管理・景観グループです。
| 所在地 | 〒440-8501 豊橋市今橋町1番地(豊橋市役所 東館9階) |
|---|---|
| 屋外広告物の担当 | 0532-51-2616 |
| 景観の担当 | 0532-51-2615 |
屋外広告物と景観は同じグループが持っていますが、電話番号が分かれています。後述する景観の届出の話は、2615のほうが早いことがあります。
申請はオンラインでもできる
豊橋市の屋外広告物の許可申請は、紙だけでなくパソコン・スマートフォンからのオンライン申請にも対応しています。市役所の窓口に出向かなくても手続きができます。
これは意外と大きな違いです。たとえば隣の豊川市や、知多半島の半田市は紙の正副2通を提出する運用です。更新のたびに担当者が市役所へ行っていた会社は、ここで手間が減ります。看板屋に申請を代行してもらう場合も、オンラインに慣れているかどうかで進み方が変わります。
許可は最長3年。切れる前に「更新」する
条例第11条第2項で、許可の期間は3年を超えない範囲内と定められています。実際に何年になるかは広告物の種類によって規則で決まります。
期限が来たら第11条第3項の更新を申請します。ここを見落として期限切れのまま出し続けている看板は珍しくありません。条例第16条は、許可期間が満了したとき、許可が取り消されたとき、看板が不要になったときは遅滞なく除却しなければならないと定めています。除却したら、その旨の届出も必要です。
許可を受けたら、条例第14条により許可の証票を看板に貼り付けておく義務もあります。押印を受けたものは除きます。
そもそも出せない場所が16種類ある
条例第3条は、広告物を表示してはならない禁止地域を16号にわたって列挙しています。主なものを挙げます。
- 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、風致地区
- 国・県・市が指定した文化財の建物の周囲50メートル以内(市指定分は市長が指定する区域)
- 保安林、愛知県自然環境保全地域
- 高速自動車国道・自動車専用道路・新幹線鉄道の全区間、および市長が指定する道路・鉄道・軌道の区間
- 都市公園の区域、国定公園・県立自然公園の区域
- 海浜・河川とその付近で市長が指定する区域
- 官公署、学校、図書館、公会堂、生涯学習センター、校区市民館、博物館、体育館の敷地
- 斎場・古墳・墓地の敷地、神社・寺院・教会の境内で市長が指定する区域
ただし第5条第2項に例外があります。禁止地域であっても、自分の事業所に自分の店名や事業内容を出す看板(自家用広告物)と、道標・案内図板のような公共的な広告物は、市長の許可を受けて出せる場合があります。「うちは住居専用地域だから看板は無理」と諦める前に確認する価値があります。
自分の土地がどの区域かは「豊橋市屋外広告物規制区域図」で確認できます。
看板を「付けてはいけない物件」も12種類ある
場所とは別に、条例第4条は看板を付けてはいけない物件を定めています。
- 橋りょう、トンネル、高架構造物、分離帯
- 石垣、よう壁の類/街路樹、路傍樹
- 信号機、道路標識、道路上のさく
- 電柱、街灯柱/消火栓、火災報知機、火の見やぐら
- 郵便ポスト、電話ボックス、公衆便所、路上変圧器
- 送電塔、送受信塔、照明塔/煙突、ガスタンク、水道タンク
- 銅像、神仏像、記念碑
- 景観法で指定された景観重要建造物・景観重要樹木
電柱と街灯柱は第4条で禁止物件になっていますが、第8条第3項に例外規定があり、規則の基準に適合すれば表示できる場合があります。電柱広告を検討している場合はここを確認してください。
豊橋駅周辺と二川宿の8地区は、着手30日前までに届出
ここが豊橋市でいちばん見落とされやすいところです。屋外広告物の許可とは別に、景観の届出が必要になる区域があります。
豊橋市の景観の届出は二階建てになっています。
| 景観法に基づく届出 | 市全域が対象。建築物・工作物などについて、地区ごとに高さや建築面積の規模基準があります(例:東部丘陵里山は高さ10m超または建築面積500m²超、豊橋駅周辺は高さ20m超または建築面積1,000m²超、表浜海浜は高さ5m超または建築面積10m²超) |
|---|---|
| まちづくり景観条例に基づく届出 | まちづくり景観形成地区で上乗せされます。豊橋駅周辺の7地区と二川宿景観形成地区の計8地区。屋外広告物の表示・移転が対象行為に含まれ、規模を問わず届出が必要です |
提出期限は工事着手の30日前まで。事前協議も計画段階で行います。令和3年10月1日から始まった制度なので、それ以前に看板を出した経験がある方ほど知らないまま進めてしまいがちです。
「うちは駅前だけど対象なのか」「二川のどこまでが地区なのか」は、図面で線が引かれています。着工の1か月前に気づいても遅いので、計画の段階で都市計画課(0532-51-2615)に区域を確認してください。
なお条例第6条には、市長が指定する景観保全型広告整備地区という別の枠組みもあります。指定区域内で看板を出すときは基本方針に適合するよう努め、市長への届出が必要です(第5条の許可を受けた場合は不要)。第7条には、土地所有者どうしで広告物協定を結び市長の認定を受ける制度もあります。商店街や分譲地でまとまって景観を揃えたい場合に使えます。
古くなった看板は、それ自体が条例違反になる
条例第10条は禁止広告物を定めています。許可を取ったかどうかとは関係なく、次の状態になった看板は表示してはいけません。
- 著しく汚染し、退色し、または塗料等がはく離したもの
- 著しく破損し、または老朽したもの
- 倒壊または落下のおそれのあるもの
- 信号機や道路標識に類似し、またはその効用を妨げるもの
- 交通の安全を阻害するおそれのあるもの
さらに平成30年に追加された第15条の2で、点検義務が課されました。看板の本体・接合部・支持部分の劣化と損傷を点検する義務があり、規則で定める広告物については、登録試験機関の試験に合格した者などに点検させなければなりません。自分で見て回れば済む話ではない、ということです。
違反すると第17条により、市長は表示の停止や除却を命じることができます。命令に従わない場合は違反している旨を公表される可能性もあります。店の名前が出る話なので、色あせた古い看板を放置している場合は早めに手を打ってください。
豊橋市で看板屋を選ぶときに見ること
豊橋市には看板の制作会社が複数あります。当サイトでは豊橋市内の看板会社を20社掲載しています(2026年8月時点)。会社を比べるときは、次の点を見てください。
- 豊橋市の条例で申請した実績があるか。県条例と市条例では様式も窓口も違います。県内の他市が主戦場の会社だと、豊橋の手続きに慣れていないことがあります
- オンライン申請に対応しているか。紙のやりとりだけだと、更新のたびに時間がかかります
- 景観形成地区の届出まで面倒を見てくれるか。屋外広告物の許可と景観の届出は別の手続きです。「看板の許可は取るが景観届出は施主側で」という分担になることがあります
- 設置後の点検と更新まで頼めるか。第15条の2の点検は有資格者が必要な場合があります。作って終わりの会社か、その後も見てくれる会社かは分かれます
- 施工まで自社でやるか、外注か。外注の場合、不具合が出たときの窓口が増えます
見積もりを取るときは2社以上から取り、「申請の代行費用が含まれているか」を必ず確認してください。ここが別料金の会社と込みの会社があり、総額が変わります。
よくある質問
Q. 豊橋市は愛知県屋外広告物条例の対象ではないのですか?
A. 対象ではありません。豊橋市屋外広告物条例(平成10年条例第54号)が適用されます。愛知県内で県条例が適用されないのは、名古屋市・豊橋市・岡崎市・一宮市・豊田市・小牧市の区域です。
Q. 自分の店の看板でも許可が要りますか?
A. 規模や場所によります。自家用広告物等で規則の基準に適合するものは、条例第8条第2項により第3条(禁止地域)と第5条第1項(許可)の規定が適用されません。基準を超えると許可が必要です。判断が難しいので、図面ができた段階で都市計画課に相談するのが確実です。
Q. 景観の届出は看板だけでも必要ですか?
A. まちづくり景観形成地区(豊橋駅周辺7地区・二川宿)の中であれば、屋外広告物の表示・移転も対象行為に含まれ、規模を問わず届出が必要です。工事着手の30日前までに提出します。地区の外であれば、この条例に基づく届出は不要です。
Q. 許可を取ったあと放っておいて大丈夫ですか?
A. いいえ。許可期間は最長3年で、切れる前に更新が必要です。許可の証票の貼付(第14条)、点検(第15条の2)、不要になったときの除却と届出(第16条)の義務もあります。
Q. 豊橋市内に希望する会社が見つからない場合は?
A. 豊川市・蒲郡市・田原市・新城市など東三河の周辺市にも掲載があります。ただし市外の会社は豊橋市の条例に不慣れなことがあるので、申請実績を確認してください。
まとめ
豊橋市で看板を出すときの要点は4つです。
- 愛知県条例ではなく豊橋市の独自条例。窓口は都市計画課 管理・景観グループ(市役所東館9階)
- 許可申請はオンラインでもできる
- 豊橋駅周辺7地区と二川宿では、規模を問わず着手30日前までに景観の届出が要る
- 許可は最長3年。更新・点検・除却の義務があり、古くなった看板は第10条違反になる
手続きの全体像さえ掴めていれば、あとは看板屋との相談で進みます。市内と周辺の掲載店は愛知県の看板屋一覧から探せます。
※ 掲載内容は2026年8月時点の情報です。条例の運用・許可期間・手数料・区域の指定などは変更される場合があります。実際の申請にあたっては、豊橋市都市計画課の最新の案内を必ずご確認ください。



