不動産会社の看板には、大きく分けて「店舗(事務所)の看板」と「物件現地の看板」の2種類があり、それぞれ役割も選び方も異なります。さらに不動産業ならではの注意点として、看板とは別に「宅地建物取引業者票」などの法定の掲示が必要とされる点も見落とせません。この記事では、店舗の信頼感づくり、物件現地の看板の使い方、設置の許可、費用の目安まで、発注者目線で整理します。
不動産の看板は「店舗用」と「現地用」で分けて考える
まず、目的の違う2種類を切り分けると選びやすくなります。
- 店舗(事務所)の看板:会社の「顔」。信頼感・安心感を伝え、来店・問い合わせにつなげます。ファサード看板、袖看板、ガラス面の物件情報掲示など。
- 物件現地の看板:売地・売家・貸店舗などの現地で、通行者に「ここが募集中」と知らせます。プレート看板、野立て看板、のぼり、養生幕など。
【重要】看板とは別に「法定の掲示」が必要
不動産業(宅地建物取引業)では、事務所ごとに宅地建物取引業者票(いわゆる「業者票」)や報酬額などの掲示が法令で求められるとされています。これは集客用の看板とはまったく別のもので、デザインの自由度も低い決まった様式です。おしゃれな会社看板をつくることと、法定の掲示をきちんと出すことは別々に必ず両立させましょう。様式や掲示場所の具体は、宅地建物取引業法や管轄(免許を受けた行政庁)の案内で確認するのが確実です。
※ 宅地建物取引業者票等の掲示義務・様式の詳細は、宅地建物取引業法および管轄行政庁の定めによります。本記事は一般的な注意喚起であり、個別の要件を保証するものではありません。
店舗(事務所)の看板の選び方
不動産の店舗看板は、信頼感・安心感が命です。地域で長く選ばれるには、誠実で落ち着いた印象づくりが効きます。
- ファサード・壁面看板:社名・ブランドを掲げる中心。立体感を出すならチャンネル文字も上品です。
- 袖看板(突き出し看板):通行者の進行方向から見え、路面店・ビルインの認知に効きます。
- ガラス面の物件情報掲示:窓に募集図面(マイソク)を並べるのは不動産店の定番。通りがかりに物件を眺めてもらえます。カードケース式やLEDパネル式など、差し替えのしやすさで選びましょう。
- 電飾・LED看板:夜間も店の所在と安心感を示します。まぶしすぎない光量が上品です。
色は、青・グリーン系で信頼感、オレンジ・ブラウン系で親しみを出す例が多いようです。書体は角ゴシック・丸ゴシック・明朝など、読みやすさを最優先に。デザインの進め方は看板デザインの依頼の進め方、配色・文字サイズの基本は看板の視認性とデザインの基本が参考になります。
物件現地の看板の使い方
売地・売家・貸店舗などの現地に立てる看板は、「ここが募集中」「問い合わせ先」を一目で伝えるのが役目です。
- プレート看板・現地看板:物件名・種別・面積・問い合わせ先を簡潔に。アルミ複合板など耐候性のある素材が定番です。
- 野立て看板:郊外や交通量の多い道路沿いで、遠くからの誘導に。設置には土地所有者の承諾や許可が関わります。
- のぼり・横断幕:オープンハウスや現地案内会の短期告知に。強風・雨に強い生地が使われます。
現地看板は設置と撤去のルールに特に注意が必要です。詳しくは次の章で解説します。
設置の許可と「成約後の撤去」
現地看板や野立て看板、のぼりは、地域の屋外広告物条例による大きさ・場所の制限や、掲出の許可が関わることがあります。歩道や道路にのぼり・立て看板を出すと道路の使用にあたることも。さらに他人の土地に立てる場合は所有者の承諾が前提です。そして成約したら速やかに撤去するのがルールとマナー。放置看板はトラブルや違反広告物の指摘につながります。取り外し・原状回復の考え方は看板の撤去・原状回復を参照してください。店舗看板もテナントなら退去時の原状回復を見込んでおきましょう。
立地で変わる店舗看板
ロードサイドの店舗
車での来店が中心なら、走行中でも読める自立看板・ポール看板と大型のファサードが有効です。駐車場の入口案内もあると親切です。
駅前・商店街の店舗
歩行者が多い立地では、進行方向から見える袖看板と、ガラス面の物件掲示が効きます。通りがかりに物件を眺めてもらえる見せ方を意識しましょう。
ビル・商業施設のテナント
ビルの規約で出せる看板が決まっていることが多いため、まず管理会社に確認してからデザインに入るのが鉄則です。
費用の目安と内訳
看板の費用は種類・サイズ・素材・照明の有無で大きく変わります。不動産会社は店舗看板と現地看板を組み合わせて使うため、まとめて相談すると予算が組みやすくなります。見落としがちなのが、取り付け施工費・電飾の電気工事費・デザイン費・既存看板の撤去費といった本体以外の費用です。現地看板やのぼりは数量がまとまりやすいので、単価と納期もあわせて確認しましょう。種類別の相場観は看板製作の費用相場、見積書の読み方は見積もりの見方を参考に、2〜3社の相見積もりをおすすめします。
開業・出店時の看板準備
新規出店では、店舗看板・ガラス面の物件掲示・法定の掲示・のぼりなどをまとめて計画すると抜け漏れがありません。電飾は電源・配線が必要なので、内装工事と同時に段取りを。オープンからの逆算は開業時の看板準備ガイドにまとめています。集客全体の考え方は看板で集客するにはもどうぞ。
メンテナンス:色あせ・破れをこまめに
現地看板やのぼりは屋外で傷みやすく、色あせ・破れ・傾きは会社の印象を下げます。定期的な点検と交換で、いつ見ても手入れの行き届いた状態を保ちましょう。点検の考え方は看板の点検・メンテナンスが参考になります。
よくある質問
Q. 宅地建物取引業者票は、会社の看板で兼ねられますか?
A. 法定の掲示は決まった様式で、集客用の看板とは別に掲示するのが基本とされています。様式・掲示場所は宅地建物取引業法や管轄行政庁で確認しましょう。
Q. 売地の現地看板は、自由に立てていいですか?
A. 土地所有者の承諾に加え、屋外広告物条例や道路使用の許可が関わることがあります。成約後は速やかに撤去するのがルールです。
Q. ガラス面に物件をたくさん貼りたい。
A. カードケース式やパネル式にすると差し替えが楽で、いつも新しい情報を見せられます。数が多いときは配置と見やすさのバランスを設計しましょう。
Q. どんな看板屋に相談すればいい?
A. 不動産店の実績がある会社は、店舗看板・現地看板・のぼりの一式を段取りよく提案してくれます。相談時に不動産の看板事例を見せてもらうとよいでしょう。
店舗も現地も、まとめて相談できる看板屋へ
不動産の看板は、店舗の信頼感づくりと、現地看板の機動力、そして法定の掲示への配慮をバランスよく進めることが大切です。不動産店の実績がある看板屋なら、これらを踏まえた提案が期待できます。業種全体の傾向は業種別・看板の選び方もどうぞ。都道府県から看板屋をさがすで、地域の会社に相談してみましょう。
関連ガイド:看板の種類ガイド/法令・許可ガイド/看板づくりガイド(総合)
※ 本記事は一般的な情報の解説です。宅地建物取引業者票等の掲示義務や看板設置の許可基準は、最新の法令および管轄行政庁・自治体により異なります。実際の掲示・設置前に必ず管轄へご確認ください。



