近江八幡市で看板を出すとき、まず知っておくべきことが1つあります。この市では、市内のどこに看板を出す場合でも、原則として市長の許可が必要です。「禁止地域でなければ自由」ではありません。市域の全部が5段階の地域に区分され、どこであっても許可制の下にあります。

八幡堀や新町通りの町並みを持つ市らしい、県内でも厳しめのルールです。この記事では、近江八幡市の看板の手続きと費用、市内で看板屋を探すときに見ておきたい点をまとめます。

まず結論:市独自の条例で「全域許可制」

近江八幡市の屋外広告物は、近江八幡市屋外広告物条例(令和2年3月23日条例第1号・令和2年10月1日施行)で規制されています。それまでは滋賀県屋外広告物条例に基づいて許可事務が行われていましたが、現在は市の条例です。古い情報サイトには県条例時代の説明が残っているので注意してください。

適用される条例 近江八幡市屋外広告物条例(市独自)
申請の窓口 近江八幡市 都市整備部 都市計画課
所在地 〒521-1392 近江八幡市安土町小中1番地8
電話 0748-36-5510
許可の原則 市域に広告物を出す者は市長の許可を受ける(第10条)

もちろん例外はあります。自分の店舗に自分の店名を出す自家用広告物などで、規則の基準に適合するものは許可不要です(第11条)。ただ「基準に収まっているか」の判断は面積や地域区分に絡むので、図面ができた段階で都市計画課に確認するのが確実です。

市内は「第1種〜第5種」の5段階。八幡の町並みは最も厳しい

条例第9条は、市域全体を規制の強い順に第1種から第5種までの地域に区分しています。

第1種(最も厳しい) 低層住居専用地域、景観地区、風致地区、伝統的建造物群保存地区、文化財の周囲、都市公園、古墳・墓地、水郷風景計画の区域湖畔風景ゾーンなど
第2種 伝統的風景計画・歴史文化風景計画の区域、歴史文化風景ゾーン、街道風景ゾーン、風景づくり協定の地区など
第3種 近隣商業地域・商業地域、市長が指定する鉄道・道路の沿線
第4種・第5種 上記以外(第5種が最も緩い)

ポイントは、八幡伝統的建造物群保存地区(八幡堀・新町通り周辺)と、水郷や琵琶湖岸の風景区域が第1種に入っていることです。観光地としての顔である場所ほど、看板の大きさ・色・高さの基準が厳しくなります。旧市街で店を開く場合、市街地の感覚でデザインした看板がそのままでは通らないことがあります。

自分の場所がどの区分かは、市の規制区域図で確認できます。都市計画課に電話で聞くのが早いです。

手数料の早見表

手数料は近江八幡市手数料条例で定められています。看板・広告板・広告塔は面積刻みです。

表示面積 手数料(許可期間1年以内)
1m²未満 440円
1〜2m²未満 830円
2〜5m²未満 1,060円
5〜10m²未満 2,130円
10m²以上 3,100円+10m²を超える部分5m²ごとに1,060円加算

そのほか、立看板・広告旗は1個250円、広告幕は1枚420円、アーチ広告物は1個4,170円などです。許可期間が1年を超える場合は、この表の2倍の額になります。看板の表示と、それを支える物件の設置を同時に申請する場合は、1件とみなして計算します。

たとえば8m²の自立看板を3年の許可で出すなら、2,130円×2倍=4,260円。看板本体の制作費に比べれば小さな額です。手数料を惜しんで無許可で出す判断に合理性はありません(罰則は後述)。

申請はオンライン(スマート申請)でできる

近江八幡市は屋外広告物の許可申請(新規・継続・変更)のスマート申請に対応しています。Grafferアカウント・Googleアカウント・LINEアカウント・メールアドレス認証のいずれかでログインし、図面などを添付して送信します(添付は合計15MBまで。超える場合は窓口または郵送)。

手数料の納付もオンラインで完結に近い形です。審査が終わると納付書のデータが届くので、ダウンロードして納付し、領収書を都市計画課へ送ります。

許可は3年まで。ただし「優良デザイン」なら6年

許可期間は3年を超えることができません(第14条)。ここまでは他の自治体と同じですが、近江八幡市には珍しい制度があります。

優良意匠屋外広告物(第19条)。特に優良な意匠を持ち、素材・規模・色彩・形態が良好な景観の形成に寄与していると市長が認めた広告物は、風景づくり委員会の意見を聴いたうえで指定され、許可期間を6年以内にできます。つまり、町並みに合う質の高い看板を作れば、更新の手間と手数料が半分になる設計です。

旧市街で長く商売をするつもりなら、最初からデザインの質に投資する価値があります。見積もりの際に看板屋へ「優良意匠の指定を狙えるか」と聞いてみてください。この制度を知っているかどうかは、市内の実務に通じているかの目安にもなります。

設置後の義務:更新は10日前まで、撤去は10日以内

近江八幡市の条例は、設置後の期限がタイトです。

  • 継続(更新)は許可期間満了の日の10日前までに申請(第18条)。模様替えや色彩・意匠の変更(改装)、形状・材料・構造の変更(改造)も、軽微なものを除き許可が要ります
  • 許可番号・許可期間・管理者の住所氏名を看板の見やすい箇所に表示する義務(第17条)。規則で定める許可証票を貼れば省略できます
  • 許可期間の満了、許可の取消し、不要になったとき——いずれもその日から10日以内に除却し、除却したら市長へ届出(第21条)

更新には点検を含む準備が要るので、満了の1か月前には動き出すのが現実的です。閉店・移転のときの「10日以内の撤去」は特に忘れやすいので、店じまいの段取りに最初から入れておいてください。

やってはいけないこと(罰金があります)

  • 電柱・街灯柱への貼り紙・貼り札・立看板・広告旗は全面禁止(第8条)。道路の路面への広告表示も禁止です
  • 橋・トンネル・街路樹・銅像・景観重要建造物などの禁止物件には広告物を出せません
  • 著しく汚損・退色したもの、破損・老朽したもの、倒壊や落下のおそれがあるものはそれ自体が禁止広告物(第7条)。許可を取っていても、劣化を放置すれば違反になります

違反すると市長は表示の停止や、5日以上の期限を定めた改修・移転・除却の措置を命じることができ、命令に従わないと違反の表示や公表の対象になります。罰則は除却命令違反が50万円以下、無許可の表示などが30万円以下の罰金です(第35条)。

近江八幡市で看板屋を選ぶときに見ること

当サイトでは近江八幡市内の看板会社を9社掲載しています(2026年8月時点)。会社を比べるときは、次の点を見てください。

  • 近江八幡市の条例(令和2年施行)で申請した実績があるか。県条例時代の知識のままの会社もあります。地域区分と第1種の基準を把握しているかが分かれ目です
  • 屋外広告業の登録(滋賀県)があるか。近江八幡市内で屋外広告業を営むには滋賀県条例に基づく登録が必要です。市ではなく県の登録である点に注意
  • 八幡の伝建地区・旧市街での施工例があるか。第1種地域は色や大きさの制約が強く、経験の差が出ます
  • スマート申請に対応しているか。紙のやりとりだけの会社より更新が楽です
  • 更新と撤去まで面倒を見てくれるか。10日前・10日以内という期限を管理してもらえるかどうかです

見積もりは2社以上から取り、「許可申請の代行費が含まれているか」を確認してください。

よくある質問

Q. 近江八幡市は滋賀県の条例ではないのですか?
A. 令和2年10月1日から近江八幡市屋外広告物条例が施行され、市独自の条例になりました。それ以前は滋賀県屋外広告物条例で許可事務が行われていました。古い解説記事には県条例の内容が残っていることがあります。

Q. 自分の店の看板でも許可が要りますか?
A. 自家用広告物などで規則の基準に適合するものは許可不要です。ただし基準は面積や地域区分によって変わるため、自己判断せず都市計画課(0748-36-5510)に確認してください。

Q. 八幡堀の近くで店を開きます。看板はどうなりますか?
A. 伝統的建造物群保存地区とその周辺は最も規制の強い第1種地域です。大きさ・色彩・高さの基準が厳しく、一般的な市街地向けのデザインが通らないことがあります。計画の早い段階で、伝建地区での施工経験がある看板屋と都市計画課の両方に相談してください。

Q. 優良意匠の指定は誰でも受けられますか?
A. 市長が風景づくり委員会の意見を聴いて指定します。特に優良な意匠で、素材・規模・色彩・形態が景観の形成に寄与していると認められることが条件です。指定されると許可期間を6年以内にできます。

Q. 近江八幡市内に希望する会社が見つからない場合は?
A. 東近江市・野洲市・彦根市・草津市など周辺市にも掲載があります。ただし市外の会社は近江八幡市独自の条例や第1種地域の基準に不慣れなことがあるので、市内での申請実績を確認してください。

まとめ

近江八幡市で看板を出すときの要点は4つです。

  • 市独自条例の「全域許可制」。市内のどこでも原則として市長の許可が要る(窓口は都市計画課・スマート申請可)
  • 八幡の伝建地区・水郷・湖岸は第1種で最も厳しい。旧市街の出店は早めに相談
  • 手数料は面積刻み(5〜10m²未満2,130円など・1年超は2倍)
  • 許可は3年まで、優良意匠なら6年。更新は満了10日前まで、撤去は10日以内

市内と周辺の掲載店は滋賀県の看板屋一覧から探せます。

※ 掲載内容は2026年8月時点の情報です。条例の運用・手数料・区域の指定などは変更される場合があります。実際の申請にあたっては、近江八幡市都市計画課の最新の案内を必ずご確認ください。