倉敷市で看板を出そうとして「岡山県屋外広告物条例」を調べ始めた方は、いったん止まってください。倉敷市には県の条例が適用されません。市が自前の条例と規則を持ち、窓口も手数料も点検のルールも市で決めています。

とくに令和3年の改正で、更新のときに高さ4mを超える看板は有資格者の点検が必須になりました。看板屋を選ぶ基準がここで変わります。この記事では、倉敷市で看板を出すときの手続きの要点と、市内で看板屋を探すときに見ておきたい点をまとめます。

まず結論:倉敷市は「市の条例」で動いている

倉敷市の屋外広告物は、倉敷市屋外広告物条例(平成13年12月27日条例第55号、平成14年4月1日施行)で規制されています。直近の改正は令和3年3月23日(条例第26号)で、令和3年4月1日から有資格者による点検の義務化と、屋外広告物モデル地区の制度が動き出しました。

倉敷市屋外広告物条例 平成13年12月27日 条例第55号(最終改正 令和3年3月23日)
同 施行規則 許可基準・許可期間・適用除外の数値はここで定められています
禁止地域・許可地域の指定 平成14年3月29日 告示第162号
倉敷市屋外広告物の手引き 市が公開している解説書(令和8年版)。条例・規則・告示の全文も収録

条例には、岡山県または岡山市で屋外広告業の登録を受けた業者の特例(第32条の15)が書かれています。つまり県・岡山市・倉敷市はそれぞれ別の制度で、業者側も市ごとに登録や届出をしている、ということです。県の数字を当てはめても倉敷市では正解になりません。

窓口は市役所の都市景観室。支所では受け付けない

申請先は建設局 都市計画部 都市計画課 都市景観室です。

所在地 〒710-8565 倉敷市西中新田640番地(倉敷市役所)
電話 086-426-3494
FAX 086-421-1600
提出部数 正副2部

児島・玉島・水島・真備の各支所では受け付けていません。郵送は可能で、許可証を郵送で受け取りたい場合は角2封筒に140円程度の切手を貼って同封します。

新規申請の必要書類は、申請書、付近見取図、形状・寸法・材質・構造・表示方法を示す図面と仕様書、他人の土地や建物に付ける場合の承諾書、他の法令の許可が要る場合はその写し、設置場所のカラー写真です。手数料は申請時に渡される納入通知書で、都市計画課または指定金融機関で納めます。

倉敷市内は原則すべて「許可制」

条例第5条は、市の区域内で広告物を出すには市長の許可が要ると定めています。禁止地域か許可地域かの二分ではなく、市内全域が規制の対象です。許可地域は3種類に分かれ、それぞれ基準が違います。

第1種許可地域 第1種・第2種低層住居専用地域
第2種許可地域 山陽自動車道・瀬戸中央自動車道の両側各500m、山陽新幹線の指定区間の両側500m、国道2号・429号・430号、県道岡山児島線・鷲羽山公園線・早島松島線、市道王子ヶ岳登山道、山陽本線・宇野線・伯備線・本四備讃線の指定区間の両側各100m
第3種許可地域 上記以外の区域

国道2号沿いや駅の近くで「隣の看板より大きく出したい」と考えている場合、第2種許可地域に入っていると第3種より基準が厳しくなります。自分の土地がどの種別かは、市の屋外広告物規制図と統合型GISで確認できます。

禁止地域は17種類。駅前広場10か所と文化財の周囲20m

条例第3条は、広告物を出してはならない禁止地域を17号にわたって列挙しています。主なものを挙げます。

  • 景観地区(倉敷の美観地区を含む)、風致地区、伝統的建造物群保存地区
  • 国・県・市が指定した文化財の建造物と、その周囲20m以内の区域
  • 保安林、自然環境保全地域
  • 高速自動車国道と自動車専用道路の全区間
  • 駅前広場10か所:中庄駅北・南、倉敷駅前・北、新倉敷駅前・北、茶屋町駅前、児島駅前、水島駅前、栄駅前
  • 都市公園、児童遊園、道路の植樹帯・分離帯・交通島
  • 河川・湖沼・海浜・高原などの景勝地で市長が指定する区域
  • 官公署・学校・図書館・博物館・病院などの公共用建造物とその敷地
  • 古墳・墓地・火葬場・葬斎場、社寺・教会の境内で市長が指定する区域

ただし禁止地域でも、自分の事業所に自分の店名を出す自家広告は、規則の基準(後述)に収まれば許可を受けずに出せる場合があります。「うちは低層住専だから無理」と決めつける前に確認してください。

看板を「付けてはいけない物件」も12種類

場所とは別に、条例第4条は看板を付けてはいけない禁止物件を12号で定めています。橋・トンネル・高架構造物、石垣・擁壁、街路樹・保存樹、信号機・道路標識・カーブミラー・歩道柵、消火栓・火災報知機、郵便ポスト・路上変圧器、送電塔・照明塔、煙突・ガスタンク・水道タンク、彫像・記念碑、パーキングメーター、景観重要建造物・景観重要樹木などです。

さらに電柱・街路灯柱・消火栓標識、アーチやアーケードの支柱にはり紙・はり札・広告旗・立看板を出すこと、そして道路の路面に広告を表示することも禁止です。

許可は新設なら3年。更新のときに「4m超」で有資格者点検

ここが倉敷市の手続きでいちばん重要なところです。条例第9条第2項で、許可の期間は1年(規則で定めるものは3年)と定められています。市の手引きによると、3年になるのは次の2つです。

  • 新たに表示・設置する広告物(既存の看板を再利用する場合を除く)。高さに関係なく3年
  • 資格者点検により安全性が確認された広告物

つまり新設は3年で許可が下り、3年後の更新のときに点検が要るという流れです。点検のルールは高さで分かれます。

地上から上端まで4m以下 自己点検でよい
地上から上端まで4mを超える 有資格者による点検が必要(外壁への直接塗装やはり紙など、落下のおそれがないものは除く)

点検できる資格は、屋外広告士、屋外広告物点検技能講習の修了者、1級・2級建築士、特定建築物調査員、1級建築施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、電気主任技術者(1〜3種)の7種類です。点検は1年に1回以上行い、更新申請の3か月以内に実施したものを報告します。

更新申請は許可期間満了の10日前までに、点検結果報告書と3か月以内に撮ったカラー写真を添えて出します。満了の約3か月前に市から案内が届くので、それが来たら看板屋に点検を依頼する、と覚えておけば間に合います。

なお、4m以下で表示面積1㎡未満のものや、許可期間が1か月以内のはり紙・立看板・のぼり旗などは、点検結果の報告は不要です(自己点検そのものは必要です)。

手数料の実額

条例別表第1に定められた許可手数料です。新規・変更・更新のいずれも同じ額がかかります。

広告板・広告塔など(1基につき)
表示面積1㎡未満 400円
1㎡以上3㎡未満 800円
3㎡以上5㎡未満 1,150円
5㎡以上8㎡未満 1,450円
8㎡以上10㎡未満 1,750円
10㎡以上 1,750円に、10㎡を超える部分1㎡ごとに100円を加算
その他
はり紙・はり札等 100枚までごとに400円(許可期間1か月以内)
立看板等 1個400円(1か月以内)
のぼり・旗 広告板と同じ(1か月以内)
懸垂幕・横断幕 1個700円(懸垂幕1か月以内・横断幕2週間以内)
アーチ 1基2,700円(1年以内)
アドバルーン 1個1,350円(1か月以内)

たとえば店舗の壁面に6㎡の看板を出すなら1,450円、20㎡の野立て看板なら1,750円+1,000円=2,750円です。手数料そのものは高くありません。費用の本体は看板の制作費と、4m超なら点検費用です。見積もりを見るときは、そこを分けて確認してください。

自分の店の看板は「10㎡以下」なら許可不要

自分の事業所に自分の店名や事業内容を出す自家広告は、規則で定める基準に収まっていれば許可を受けずに出せます(条例第6条)。手引きに載っている基準の要点です。

1事業所あたりの表示合計面積 許可地域で10㎡以下、禁止地域で5㎡以下(景観地区を除く)
屋上広告 不可
敷地外への突き出し 不可
突出し広告の個数 許可地域で3個以下、禁止地域で1個
1壁面の利用割合 2分の1以下
色彩 色彩規制の基準を満たすこと

合計10㎡を超えると許可申請が必要になります。壁面看板と袖看板と窓のシート、と足していくと意外と超えるので、看板屋に「合計で何㎡になるか」を最初に出してもらってください。

建物に付ける看板全体には総量規制もあります(条例第13条)。看板の表示面積の合計は、その建物の総壁面面積の2分の1以下です。

美観地区は自家看板でも3㎡・5㎡まで

倉敷川畔の美観地区は景観地区として禁止地域に入っていますが、そこで商売をしている店は看板を出せないわけではありません。自家広告に限り、上限が厳しくなる形です。

伝統的建造物群保存地区(伝建地区) 1事業所あたり3㎡以下
景観地区のうち伝建地区以外(伝美地区) 1事業所あたり5㎡以下

手引きでは、美観地区が守る時代風景を「江戸時代後期から明治時代」とし、本瓦葺の屋根・漆喰塗の外壁・倉敷格子の窓といった意匠を覆い隠さないことを原則にしています。

もうひとつ、美観地区に特有の規定が条例第8条第6号です。倉敷川畔伝建地区の背景保全条例の対象になる建築物等で、今橋・中橋の橋の上と、今橋から中橋・高砂橋の中間点までの倉敷川両岸の道路面から1.5mの高さで著しく視界に入るものは、禁止広告物として出すことができません。美観地区の外にある建物でも、川沿いからの眺めに大きく入り込む看板は対象になりうる、ということです。美観地区の周辺で高い看板を考えている場合は、都市景観室に先に聞いてください。

倉敷駅前は「モデル地区」。許可基準に上乗せ

令和3年4月1日、市は条例第27条に基づく屋外広告物モデル地区として「倉敷駅周辺地区」を指定しました(告示第196号・第197号)。区域はJR倉敷駅南口の駅前広場から、駅前古城池霞橋線の中央一丁目交差点までの沿道に面する区域です。

モデル地区の中では、通常の許可基準に加えてモデル地区掲出基準にも適合しなければ許可されません(第29条)。駅前の商業ビルや店舗で看板を計画している場合は、この基準を先に確認する必要があります。

条例第31条には、土地や建物の所有者どうしで広告物協定を結び、市の指定を受ける制度もあります。令和3年7月には倉敷駅前の商業施設「あちてらす倉敷」が協定地区に指定されています。

古くなった看板は、それ自体が条例違反になる

条例第8条は禁止広告物を定めています。許可の有無に関係なく、次の状態の看板は出しておけません。

  • 著しく汚染し、退色し、または塗料等がはく離したもの
  • 著しく破損し、または老朽したもの
  • 倒壊または落下のおそれがあるもの
  • 信号機・道路標識等に類似し、またはその効用を妨げるもの
  • 道路交通の安全を阻害するおそれのあるもの

条例第15条の管理義務と第16条の点検義務は、手引きにある通り許可申請の有無に関わらず、市内のすべての屋外広告物に生じます。許可不要の自家看板でも、点検はしなければなりません。

違反した場合、市長は表示の停止や除却などの措置を命じることができ(第20条)、命令に従わないと50万円以下の罰金(第39条)、禁止地域・禁止物件への表示や無許可の表示は30万円以下の罰金(第40条)です。看板が不要になったときは遅滞なく除却し、除却の届出も必要です(第17条)。

倉敷市で看板屋を選ぶときに見ること

当サイトでは倉敷市内の看板会社を15社掲載しています(2026年8月時点)。倉敷中心部だけでなく、水島・児島・玉島・真備にも掲載があります。会社を比べるときは、次の点を見てください。

  • 倉敷市に屋外広告業の登録(または届出)があるか。倉敷市内で看板業を営むには市長の登録が要ります。岡山県・岡山市の登録があれば届出で済みますが、いずれも無い業者は条例違反です(無登録営業は1年以下の懲役または50万円以下の罰金)
  • 有資格者の点検を自社でできるか。4m超の看板は3年ごとの更新で資格者点検が要ります。屋外広告士や点検技能講習修了者が社内にいれば、更新のたびに別の業者を探さずに済みます
  • 倉敷市の条例で申請した実績があるか。県条例や岡山市条例が主戦場の会社だと、倉敷の様式や種別の判断に慣れていないことがあります
  • 美観地区・モデル地区の実績があるか。店が美観地区や倉敷駅前にある場合は、上乗せ基準を知っている会社でないと手戻りが出ます
  • 施工まで自社でやるか、外注か。外注の場合、不具合が出たときの窓口が増えます

見積もりを取るときは2社以上から取り、「申請の代行費用」と「更新時の点検費用」が含まれているかを必ず確認してください。ここが別料金の会社と込みの会社があり、3年後の総額が変わります。

よくある質問

Q. 倉敷市は岡山県屋外広告物条例の対象ではないのですか?
A. 対象ではありません。倉敷市屋外広告物条例(平成13年条例第55号)が適用されます。県の条例が適用される市町村の手続きについては岡山県の屋外広告物条例の記事を参照してください。

Q. 自分の店の看板でも許可が要りますか?
A. 1事業所あたりの表示合計面積が許可地域で10㎡以下(禁止地域で5㎡以下)など、規則の基準に収まっていれば許可不要です。超えると許可が要ります。美観地区は3㎡または5㎡が上限です。

Q. 許可期間は何年ですか?
A. 新設の看板は3年です。更新のときは、有資格者の点検で安全性が確認されれば3年、そうでなければ1年になります。

Q. 高さ4mというのはどこから測りますか?
A. 地上から看板の上端までの高さです。建物の壁面に付ける看板でも、上端が地上4mを超えていれば資格者点検の対象です。

Q. 倉敷市内に希望する会社が見つからない場合は?
A. 隣の岡山市には16社の掲載があります。ただし市外の会社は倉敷市への登録または届出が必要で、条例にも不慣れなことがあるので、登録の有無と申請実績を確認してください。

まとめ

倉敷市で看板を出すときの要点は5つです。

  • 岡山県条例ではなく倉敷市の独自条例。窓口は都市計画課 都市景観室(086-426-3494)、正副2部、支所不可
  • 市内は原則すべて許可制。許可地域は第1種〜第3種に分かれ、国道2号沿いや駅周辺は第2種で基準が厳しい
  • 新設は許可3年、更新時に高さ4m超なら有資格者点検が必須。点検は1年に1回以上
  • 自家看板は合計10㎡以下なら許可不要。美観地区は3㎡・5㎡が上限
  • 倉敷駅前はモデル地区で掲出基準が上乗せされる

手続きの全体像さえ掴めていれば、あとは看板屋との相談で進みます。市内と周辺の掲載店は岡山県の看板屋一覧から探せます。

※ 掲載内容は2026年8月時点の情報です。条例の運用・許可期間・手数料・区域の指定などは変更される場合があります。実際の申請にあたっては、倉敷市都市景観室の最新の案内と「倉敷市屋外広告物の手引き」を必ずご確認ください。