神奈川県で看板を出すとき、最初に確認すべきは「そもそもどの条例が適用されるのか」です。神奈川県は独自の屋外広告物条例を持つ市が11もある、全国でも規制主体が多い県のひとつ。横浜・川崎・相模原・横須賀だけでなく、平塚・鎌倉・藤沢・小田原・茅ヶ崎・秦野・大和も独自条例を持ち、県条例が適用されるのは残りの22市町村です。「神奈川県の基準」を調べたつもりが、実は設置場所には別の市条例が適用されていた——という行き違いが起こりやすい県なのです。この記事では、この二層構造と県条例の基本を発注者目線で整理します。制度の全体像は屋外広告物条例とはをどうぞ。

まず確認:設置場所はどちらの条例か

適用される条例 対象の市町村
各市の独自条例(11市) 横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・平塚市・鎌倉市・藤沢市・小田原市・茅ヶ崎市・秦野市・大和市
神奈川県屋外広告物条例(22市町村) 三浦市・逗子市・厚木市・海老名市・座間市・綾瀬市・伊勢原市・南足柄市などの各市と、葉山町・寒川町・大磯町・二宮町・中井町・大井町・松田町・山北町・開成町・箱根町・真鶴町・湯河原町・愛川町・清川村

独自条例の11市では、大きさ・高さ・色彩などの基準も、申請の窓口も各市で異なります。「県の基準」を調べただけでは足りません。横浜・川崎については、探し方の観点で横浜の記事・川崎の記事もどうぞ。以下は県条例が適用される22市町村の話です。

県条例の基本構造:禁止地域と5種類の許可地域

県条例の区域は、大きく禁止地域(原則として広告物を出せない地域)と許可地域(許可を受けて出せる地域)に分かれます。許可地域はさらに5種類に区分され、それぞれ大きさ・高さなどの許可基準が異なります。

  • 自然系許可地域:自然景観の保全が重視される地域
  • 住居系許可地域:住宅地とその周辺
  • 工業系許可地域:工業地とその周辺
  • 沿道系許可地域:幹線道路の沿道
  • 商業系許可地域:商業地

つまり「神奈川県内ならこのサイズまでOK」という一律の数値はなく、設置場所がどの区域かで基準が変わります。設置予定地の区域は、県が公開している屋外広告物条例規制地域マップ(e-かなマップ)で確認できます。

自家用広告物の適用除外

自分の店舗・事業所に自分の名前や営業内容を表示する自家用広告物は、一定の面積までは許可が不要(適用除外)とされています。県の案内では、許可地域では10㎡まで、禁止地域・広告景観形成地区では5㎡までが目安です(テナントごとに適用されます)。ただし、面積の算定方法や条件の詳細があるため、ぎりぎりのサイズを狙う場合は事前に窓口へ確認するのが安全です。自家用広告物の考え方は自家用広告物の記事で詳しく解説しています。

手続きと屋外広告業の登録

  • 許可申請:許可地域で基準を超える広告物や、適用除外に当たらない広告物は、表示・設置前に許可申請が必要です。継続して掲出する場合は更新手続きもあります。
  • 施工業者の登録:神奈川県内(横浜・川崎・相模原・横須賀を除く)で屋外広告業を営むには県知事の登録が必要です(有効期間5年、登録手数料は新規・更新とも1万円)。
  • 特例届出制度:県登録の業者が横浜・川崎・相模原・横須賀の4市内で営業する場合は、各市への特例届出により市の登録業者とみなされます。県で更新すれば、届出済みの市の登録も自動的に更新されます。

発注者としては、依頼先の看板屋に設置場所に対応する登録(県または市)があるかを確認しておくと安心です。業者登録制度の全体像は屋外広告業の登録の記事をどうぞ。

違反するとどうなる?

無許可の表示や禁止地域への掲出は、是正指導・措置命令の対象となり、条例には罰則の定めもあります。ただし、罰則の対象行為や金額は条例の各規定によって異なるため、「違反=一律いくら」という説明はできません。違反広告物の扱いと是正の流れは違反広告物の記事で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 厚木市や藤沢市に看板を出したい。どちらも「県条例」ですか?
A. 違います。藤沢市は独自条例を持つ11市のひとつで、厚木市は県条例の適用区域です。同じ県内でも市によって適用される条例が異なるため、まず上の表で設置場所を確認してください。

Q. 基準を自分で調べるのは大変です。どうすれば?
A. 実務では、設置場所の区域確認から許可申請まで看板屋が代行するのが一般的です。地域の条例に慣れた看板屋に相談するのが早道です。神奈川県の看板屋をさがすから比較できます。

まとめ

神奈川県の看板規制のポイントは3つ。①11市は独自条例・残り22市町村が県条例という二層構造で、まず設置場所の適用条例を確認する。②県条例では禁止地域+5種類の許可地域で基準が変わり、一律の数値はない。③施工業者には県登録(4政令市等では特例届出)が必要。——迷ったら、設置場所の区域確認ごと地元の看板屋に相談するのが確実です。

出典:神奈川県「かながわの屋外広告物」/同「許可申請・相談等の受付窓口」/同「屋外広告業の登録申請」(確認日:2026年7月19日)

※ 本記事は一般的な情報の解説です。区域区分・面積・高さ・色彩の基準や手続き・手数料は、広告物の種類・設置場所により異なり、改正されることがあります。実際の計画では神奈川県または各市の最新の条例・規則・手引きを必ずご確認ください。